Google検索などで「ケンとメリーの木」と入力すると、関連検索ワードに「伐採」「現在」といったキーワードが浮上します。「あの名木はもう切られてしまったのか」と不安を抱く旅行者も少なくありません。しかし、結論から申し上げれば、ケンとメリーの木は2026年現在も美瑛町大久保協和の地に力強く枝を広げています。
では、なぜこのような不穏な伐採疑惑が定着してしまったのでしょうか。背景には、2010年代に美瑛町内で起きた衝撃的な出来事と、情報伝達における認知の歪みがあります。
最大の原因は、2016年2月に同じ美瑛町内にあった名木「哲学の木」(斜めに傾いた姿が特徴的だったポプラ)が、所有者の農家によって重機で倒され、伐採された事件です。哲学の木周辺では、写真撮影のために農地へズカズカと踏み入る観光客が後を絶たず、度重なる警告看板も無視され続けた結果、農作業の限界を迎えた地主が決断を下しました。全国ニュースで「美瑛の有名な一本の木が伐採された」と大々的に報じられたことで、人々の記憶の中で「ケンとメリーの木」と混同されてしまったのです。
また、ケンとメリーの木自体の樹齢が推定90年〜100年を超えている点も見逃せません。ポプラは本来、成長が早い反面で木質が脆く、強風による大枝の倒伏や内部の空洞化(幹腐朽)が起きやすい樹種です。定期的に安全対策としての枝打ちや樹木医による診断が行われており、剪定直後に一時的にボリュームが減った姿を見たネットユーザーが「伐採の準備ではないか」とSNSに書き込んだことも、噂の拡散に拍車をかけました。現在も町や関係者の配慮のもと、倒木リスクを抑えながら慎重な保全活動が続けられています。