「存じ上げる」を使いこなす上で、多くのビジネスパーソンが見落としがちな2つの重大な盲点が存在します。
盲点1:対象が「物事・事実」の場合は「存じ上げる」を使わない
「そのプロジェクトの件は存じ上げております」という表現を耳にすることがありますが、これは厳密には不自然な日本語です。「存じ上げる」の「上げる」は、向かう対象となる「人(人物)」に対する敬意を表す接尾動詞です。
- 不適切:昨日のプレスリリースの内容は存じ上げております。
- 自然で正確:昨日のプレスリリースの内容は存じております(あるいは「承知しております」「拝見いたしました」)。
- 適切:新しいプロジェクトリーダーの佐藤様については、以前より存じ上げております。
このように、「人」を知っているときは「存じ上げる」、「情報・状況」を知っているときは「存じる(存じております)」と使い分けるのが、言葉のプロフェッショナルが実践する水準の作法です。
盲点2:「ご存知になられる」などの二重敬語の罠
相手を過剰に敬おうとするあまり発生するのが二重敬語です。「ご存知」という単語そのものがすでに「知っている」の尊敬語であるため、そこに尊敬の助動詞「〜になられる」を重ねた「ご存知になられる」は明らかな二重敬語となります。
相手の知識を確認したい場合は、「ご存知でしょうか」または「ご存知でいらっしゃいますか」と表現するのがスマートであり、過剰敬語による慇懃無礼(いんぎんぶれい)を避ける鉄則です。