妖艶な大人の女性として脚光を浴びた夏木マリさんですが、その芸能生活のスタートは決して平坦なものではありませんでした。1971年、19歳の時に本名(中川淳子)に近い「星淳子」という芸名でビクターから歌手デビューを果たしています。
当時のキャッチフレーズは「清純派アイドル」。ポニーテールに清楚なパフスリーブのワンピースをまとい、デビュー曲『小さな恋』を歌っていましたが、同世代のアイドルたちの中に埋もれ、レコードはまったく売れませんでした。地方のキャバレー回りや営業ステージをこなす過酷な日々が続き、マネージャーと2人で電車を乗り継いで全国を巡る下積み生活を余儀なくされます。
自著や当時の回顧録によると、「このままでは終われない」という強い危機感から、退路を断つ覚悟でイメージチェンジを決意。「夏に決めよう」というプロデューサーの直感から名付けられた「夏木マリ」へと改名し、髪をバッサリ切って大胆な露出とセクシー路線へ舵を切ったことが、芸能界での大逆転劇へとつながりました。