2015年の開業当初から現在に至るまで、一部の地域論壇やネット掲示板で執拗に語られてきたのが「駅前イオンが平和通買物公園(日本初の恒久的高行者天国)にトドメを刺した」という中心市街地衰退論です。しかし、この言説には商業構造上の大きな誤解が含まれています。
かつて駅前周辺には西武旭川店をはじめ複数の百貨店や大型商業施設が存在していましたが、これらはバブル崩壊後の消費低迷や郊外型バイパス沿いへのロードサイド店展開、さらには建物の老朽化によって撤退が相次ぎました。もしイオンモール旭川駅前が北彩都あさひかわ事業の核として誕生していなければ、中心市街地への人の流れそのものが完全に途絶え、郊外の一人勝ちになっていた公算が極めて高いのです。
近年の歩行者動態データを精査すると、イオンを訪れた来訪者が、徒歩で買物公園沿いの老舗飲食店や個性派カフェ、あるいは旭川市市民交流センター(CoCoDe)などへ回遊する新たな導線が形成されています。駅直結商業施設と買物公園は「奪い合いの敵対関係」ではなく、駅前に人を引き留めるアンカー(錨)としての相乗効果を発揮するフェーズへ明確に移行しています。