鬼塚慶次は、かつてライトミドル級のボクシング世界チャンピオンとして頂点に君臨した天才ボクサーだ。彼の動機はあまりにも切なく、そして純粋である。自分を育ててくれた孤児院「恵の家」の借金を返済し、子供たちのためにボクシングジムを建てる資金を稼ぐこと。ただそれだけのために、彼は死と隣り合わせの火星調査計画へ志願した。
金のために命を張る男の背中には、一切の迷いがない。金星のような灼熱でも氷の極寒でもなく、害虫が異常進化を遂げた火星という地獄の真っ只中で、彼は純粋な拳ひとつで立ち向かう。過酷な『SFアクション』の枠組みを超え、泥臭い人間ドラマが読者の胸を強く打つのだ。