マグロは止まると死ぬ噂の真相|泳ぎ続ける驚異の生態と大量死の教訓

マグロは止まると死ぬ噂の真相|泳ぎ続ける驚異の生態と大量死の教訓

マグロは止まると死ぬ噂の真相|泳ぎ続ける驚異の生態と大量死の教訓の概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。

大海原を回遊する魚類のなかでも、なぜマグロはこれほど過激な身体構造を獲得したのでしょうか。マグロは魚類でありながら、筋肉の熱を逃がさない特殊な血管網「奇網(きもう・奇異網)」を備え、周囲の水温より体温を10〜15度近く高く維持できる内温性を持っています。マグロの最高速度と泳ぎ続ける理由は密接に結びついており、高い筋肉温度を保つことで、瞬発時に時速80kmとも推計される猛烈なダッシュ力を発揮し、広大な外洋でエサを捕食するためです。

さらにマグロは、成魚になると浮き袋(鰾)が退化して極めて小さくなります。筋肉と骨格の比重が海水よりも重いため、推進力を失って胸ビレによる揚力が消えると、飛行機が失速するように深海へ沈降してしまいます。止まることは「酸欠」と「深海への沈没」という二重の死を意味するのです。こうした極限の適応を果たしたマグロの生態と平均寿命を見ると、クロマグロは過酷な遊泳生活を続けながらも20年から30年以上の天寿を全うすることが確認されています。

以下は、呼吸法や浮力調整の違いによる魚類の比較データです。止まると死ぬ魚一覧と、静止しても生存可能な魚の違いを整理しました。

魚種・分類呼吸様式(エラ呼吸)停止時の耐性生態的特徴とリスククロマグロ / カツオ完全ラム換水法停止後、数分〜十数分で窒息比重が重く沈降する。奇網により高体温を維持するため大量の酸素を消費。ホオジロザメ / アオザメ偏性ラム換水法停止すると呼吸困難に陥る軟骨魚類で浮き袋なし。肝臓の油分で浮力を得るが、静止すると沈み窒息。マアジ / マイワシ併用型(遊泳時はラム換水)一時的な静止は可能低速時や静止時はエラ蓋ポンプを作動。群れの維持のために泳ぎ続ける。マダイ / スズキエラ蓋ポンプ運動(吸引呼吸)停止しても生存に問題なし自力でエラ蓋を動かし送水可能。障害物周りや海底でじっと停止できる。ネコザメ / エイ類噴水孔・エラ孔による吸引海底に着底したまま生存底生生活に適応。頭部の噴水孔から海水を取り込めるため全く泳がず眠れる。
中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。