作中に登場するアイウェアキャラクターの中で、屈指のビジュアル人気とカルト的な支持を誇るのが幻影旅団のシズクです。ショートボブに黒縁のセルフレームメガネ、黒のタートルネックセーターというシックな佇まいは、少年誌のバトル漫画において極めて異彩を放っていました。
ファンの間では「シズクのメガネに特定のモデルブランドが存在するのか」という議論が長年交わされてきました。形状としてはクラシックなウェリントン型あるいはやや丸みを帯びたボストン型に近く、オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)やモスコット(MOSCOT)などの名門アイウェアを想起させる普遍的な美しさを持っています。冨樫氏の高いファッションセンスが遺憾なく発揮されたデザインといえます。
シズクの最大の魅力は、物忘れが激しくどこか抜けたような「天然少女」の表情を見せながら、旅団の掟に従って冷徹に敵を処分する落差にあります。彼女が操る具現化系の念能力「不思議で便宜な大掃除機(デメちゃん)」は、シズク本人が「生き物でない」と認識したものであれば何でも吸い込む規格外の性質を持ちます。キメラ=アント編でのパイク戦で見せた、相手の血液を一滴残らず吸い尽くす戦術は、知的な眼鏡姿と残酷な結果の対比によって読者に強烈な衝撃を与えました。