サトシのピカチュウがここまで世界中で愛された最大の立役者として、声優・大谷育江氏の存在を抜きに語ることはできません。ピカチュウの声は吹き替えを行わず、日本版の音声がそのまま世界各国で放送されています。「ピカ」「ピカチュウ」「ピカピ」という限られた母音の組み合わせだけで、怒り、喜び、戸惑い、そして深い愛情を完璧に表現し分ける演技力は、アニメ界の至宝と評されています。
大谷氏は過去のインタビューにおいて、ピカチュウを「言葉を喋らない赤ん坊やペットではなく、ひとりの人格(ポケモン格)を持った誇り高き役」として演じていると語っています。脚本に書かれた「ピカチュウ」という台詞の横には、ト書きとして「サトシ、大丈夫か?」「ボクに任せて!」といった感情の意図がメモされ、一音一音に明確な言葉の意味が込められていました。
SNSやファンのコミュニティにおけるサトシのピカチュウ ネットの反応を検証すると、新無印編のマスターズ・トーナメント決勝戦(ダンデ戦)で見せた演出に対し、リアルタイムで次のような熱狂的な書き込みが溢れ返りました。
「ダンデのリザードン相手に意識を失いかけた瞬間、初代無印の仲間たち(バタフリーやピジョット、リザードン)の幻影がピカチュウの背中を押すシーンで涙腺が崩壊した」
「25年間負け続けて、リセットと叩かれながらも、進化を拒んでピカチュウのままで世界の頂点に立った。これ以上のカタルシスはない」
子供向けアニメの枠を遥かに超え、四半世紀にわたって人生を併走してきた大人たちの心を激しく揺さぶるリアルな共感がそこにありました。