移籍当初、多くの米アナリストが懸念していたのが「被本塁打のリスク」でした。本拠地リグレー・フィールドは、五大湖特有の強風がミシガン湖から吹き荒れることで知られ、風が外野方向へ吹く日はフライボールがことごとくスタンドへ吸い込まれる悪名高い球場です。
NPB時代からフライ率が高かった今永投手に対し、「メジャーのパワーヒッターに風に乗せられ、被弾が急増して炎上するのではないか」という懐疑論が根強く存在しました。しかし、結果はその懸念を鮮やかに打ち砕くものとなりました。
なぜ被弾の連鎖を防ぐことができたのか。その鍵は「コンタクト率の抑制」と「コースの徹底」にあります。打球を上げさせる球種でありながら、打者のバットの芯を外すコマンド(狙った場所へ投げる力)が群を抜いて優れていたため、風に乗るような長打性のフライではなく、内野手や浅い外野定位置へのイージーフライに封じ込めることに成功したのです。
さらに、走者を溜めた場面では低めの変化球で内野ゴロを打たせるなど、球場の気象条件(風向き・湿度)に応じて投球パターンをリアルタイムで微修正する柔軟性を発揮。事前の不安要素を自らの計算力で封殺しました。