俳優・黒澤の原点を語るうえで欠かせないのが、東宝映画全盛期からテレビドラマの黄金期を駆け抜けた圧倒的なフィルモグラフィです。1964年に東宝ニューフェイス第4期生としてキャリアをスタートさせて以来、アクション、サスペンス、ホームドラマとジャンルを問わず強烈な足跡を残してきました。
特にテレビ史に刻まれる金字塔となったのが、テレビ朝日系列で大ヒットを記録したアクションドラマ『ザ・ハングマン』シリーズです。黒沢氏が演じたタフで軽妙、かつ情に厚いキャラクター造形は、昭和から平成初期のテレビ受像機を通じて全国のお茶の間を魅了しました。また、映画『日本のいちばん長い日』(1967年)や『時をかける少女』(1983年版)など、映画史に残る傑作群におけるバイプレイヤーとしての硬軟自在な演技は、現在も名画座や配信プラットフォームで高い視聴回数を記録しています。
加えて、舞台出演情報に目を向けると、商業演劇の大劇場公演から人情味あふれる喜劇まで、生のマイクなし演技で培われた発声と立ち居振る舞いは、後進の俳優たちにとって生きた教本となっています。近年では、若手俳優・黒澤陣が小劇場や2.5次元舞台でエネルギッシュな肉体表現を披露しており、昭和の重厚さと令和のスピード感がそれぞれのフィールドで継承されています。