西野カナの楽曲制作において最も革新的だったのが、「同世代のリアルな声を徹底的に吸い上げる企画リサーチ型」の作詞スタイルです。『Dear…』の誕生背景にも、彼女が当時通っていた大学の友人やスタッフへの綿密なヒアリングが存在しました。
音楽メディアのインタビューや当時の制作証言によると、西野カナは恋愛における具体的なエピソード、連絡の頻度、どんな瞬間に一番相手を愛おしく思うかといったアンケートを取り、集まった大量のキーワードをパズルのように組み立てて作詞を行っていました。個人の独白ではなく、何十人もの生々しい体験談の最大公約数を抽出したからこそ、聴き手は「まるで自分の日記を読まれているようだ」と錯覚するほどの共感を覚えます。
作曲・編曲には、Shinquo Ogura氏に加え、西野カナのブレイク期を支えた重要プロデューサー・GIORGIO CANCEMI(So' Fly / NERDHEAD)が参画。切なさを煽るストリングスと、芯のあるヒップホップ・R&Bマナーのビートが融合したトラックは、DOCOMO×西野カナ「ガンバレ受験生 '09-'10」公式ソングとしても起用され、恋愛のみならず「夢に向かって離れた場所で励まし合う関係」の応援歌としても広く浸透しました。