平仮名の「ゑ」は、平安時代初期に漢字の草書体から生まれた文字です。「ゑ」の漢字の成り立ちは「恵」であり、「恵」という漢字を極限まで崩して書く過程で、私たちが目にする独特の曲線美を持った仮名へと定着しました。ちなみに、同じくワ行の仲間である「ゐ」は「為」の草書体をルーツに持ちます。
仮名の歴史を深く掘り下げると、明治期以前の日本には1つの音に対して複数の文字が存在していました。これらは現在変体仮名と呼ばれており、「え」という音に対しても「江」から生まれた平仮名(現在の「え」)だけでなく、「衣」「要」「得」などを崩した多彩な仮名が共存していました。
そうした豊かな文字文化の中で、「ゑ」は単なる「え」の異体字ではなく、五十音図において独自の座席を持つ正規の仮名として長年君臨していたのです。