毛根の最深部には、驚くべき連携プレーが存在する。毛包の底部に鎮座する毛乳頭細胞は、いわばオーケストラの指揮者だ。血流から栄養とホルモンシグナルを受け取り、増殖因子を分泌して周囲へ指令を飛ばす。
その指令を一心に受け止めるのが毛母細胞である。毛乳頭細胞からのシグナルを合図に、猛烈なスピードで細胞分裂を反復。分裂した細胞が角化しながら上へと押し上げられることで、一本の頑強な毛幹が形作られる。どちらか一方の機能が低下しても、健全な発毛は望めない。近年の解析技術は、両者のシグナル交換を阻害する活性酸素や微小炎症の存在を突き止め、ターゲットを絞ったアプローチを可能にした。