豊中市は、地形的に北部の千里丘陵から南部の沖積平野に向かって傾斜しており、集中豪雨の際には水害特性が二極化します。警戒すべきは、西側を流れる猪名川と、南端を流れる神崎川の水位急上昇です。
国土交通省近畿地方整備局および大阪府の河川防災データによると、神崎川や猪名川は上流(能勢・丹波地域や京都府亀岡方面)の降雨が数時間遅れて流入する特徴を持っています。豊中市内が小康状態であっても、上流部の豪雨によって下流の水位が一気に氾濫危険水位を突破することがあります。神崎川の三津屋観測所や猪名川の利倉観測所の数値は、リアルタイム河川カメラ映像とともに常に監視すべきポイントです。
豊中市ハザードマップ(洪水・内水・高潮)を検証すると、庄内西町、庄内幸町、名神口、豊南町南などでは、神崎川や猪名川の堤防決壊(外水氾濫)によって最大3mから5m未満の浸水想定区域が指定されています。これは木造家屋の2階部分まで水没する深さです。これに加え、下水道の排水能力を超える時間雨量70mm超の雨が降ると、アンダーパス(内環状線や立体交差部)や低地で内水氾濫が瞬く間に発生します。
市から「高齢者等避難(警戒レベル3)」や「避難指示(警戒レベル4)」が発令され、市立庄内さくら学園や各市民センターに避難所が開設された場合、周囲が冠水してから移動することは命に関わります。浸水想定区域に居住している家庭では、近隣の堅牢なRC造建築物の3階以上へ移動する「垂直避難」を選択するか、道路冠水前に広域避難を完了させておく冷徹な事前計画が命綱となります。