静岡市清水区草薙の拠点は、半世紀以上にわたり「松下の街」として地域経済を牽引してきた誇りあるシンボルでした。国一バイパスや静鉄草薙駅からも近い一等地であり、数千人規模の従業員が闊歩した光景を記憶している地元住民も少なくありません。
関係者への取材や行政資料によると、草薙地区における生産機能の見直しによって生じた広大な遊休地は、地域社会の利便性を高める都市型複合エリアへと舵を切っています。パナソニック草薙地区の再開発は、単なる工場の解体売却にとどまらず、地元自治体と連携したまちづくりの枠組みで推進されています。
跡地利用のプランには、大型商業施設や医療福祉モール、先進的な物流中継センター、さらには緑地広場を備えた防災拠点の整備が盛り込まれており、製造業主体のエリアから「住まい・賑わい・利便性」を兼ね備えた新拠点へと生まれ変わりつつあります。高度経済成長期から続いた「大工場に依存する城下町」モデルから、持続可能なコンパクトシティへの脱皮。草薙の変貌は、日本の地方都市が直面する産業構造転換の最前線と言えます。