しかし、ブームの熱狂と引き換えに二人の日常は極限状態へと追い込まれていました。テレビ各局を分刻みで移動する殺人的なスケジュール、漫才師でありながらタレント・歌手としての稼働を求められる日々に、心身ともに消耗していったのです。「新ネタを作る時間すらなく、同じギャグの連発を求められる」という表現者としての葛藤も深まり、コンビ間の歯車は次第に軋み始めました。
そしてブームが落ち着きを見せた1986年、ザ・ぼんちは惜しまれつつ解散を発表します。仲違いという単純な理由だけではなく、燃え尽き症候群に近い疲弊と、お互いが芸人・表現者として次のステップに進むための苦渋の決断でした。解散後、ぼんちおさむは俳優活動やジャズシンガー、ピン芸人としてマルチな才能を発揮。一方の里見まさと師匠は、新たな相方とのコンビ結成やラジオパーソナリティとして上方演芸の正統を継承し、それぞれ別の道を歩み始めました。