長年、母乳の出やすさは「母親の気合いや体質」といった曖昧な言葉で片付けられがちでした。しかし、近年の周産期医学の研究によって、ホルモン分泌の波や乳腺組織の密度の違い、さらには出産時の出血量や疲労度など、極めて多様な生物学的要因が関係していることが明らかになっています。
「水分をたくさん摂れば出るとか、メンタルが弱いから出ないといった言説は医学的に誤りです」。そう指摘するのは、母乳育児支援に詳しい専門医です。プロラクチンやオキシトシンといったホルモン受容体の反応には大きな個人差があり、母親自身の精神的・肉体的ストレスがそれに拍車をかける循環が解明されつつあります。