歳時記のページをめくると、思いがけない言葉が夏の季語として分類されていることに驚かされる。「アイスコーヒー」や「ナイター」といった現代的な言葉はもちろん、「ビール」「涼し」あるいは「青時雨」といった情緒あふれる言葉まで、そのバリエーションは実に豊かだ。
初心者が陥りがちなのが、いかにも夏らしい大げさな単語ばかりを詰め込んでしまう失敗である。あえて意外な季語をひとつだけ据え、周囲の情景を具体的に描写する――この引き算の美学こそが、センスある作品を生み出す極意となる。自分の生活に引き寄せて言葉を選ぶ自由こそ、俳句が現代まで生き続けてきた最大の理由だ。