満願寺の真骨頂ともいえるのが、本堂からさらに沢沿いの山道を登り詰めた先に位置する奥の院です。本堂裏手の入山受付で拝観料(大人300円)を納め、修験の行場へと足を踏み入れます。
参道は片道約1.2km、高低差約120mの道のりで、徒歩20〜30分ほどのハイキングコースとなっています。道中には、修験者が身を清めた「大悲の滝」や、岩壁に囲まれた不動明王像が参拝者を迎え、自然の静寂と沢のせせらぎが日常の雑念を洗い流してくれます。
山道の終着点に現れるのが、巨大な石灰岩の断崖に張り付くように建てられた懸造(かけづくり)の奥の院拝殿です。拝殿を抜けて洞窟内に入ると、ひんやりとした冷気に包まれ、石灰洞の奥深くに自然の地下水が数十万年かけて形成した「鍾乳石の十一面観世音菩薩」が姿を現します。人為的な彫刻ではなく、自然現象そのものを神仏の顕現と捉える日本古来の自然崇拝(アニミズム)と密教が融合した、極めて稀有な祈りの空間です。
参拝後に本堂脇の納経所で受ける御朱印も、巡礼者にとって重要な体験です。坂東第17番の「千手大悲閣」をはじめ、奥の院の「十一面大悲閣」、開山勝道上人の御朱印など複数種類が用意されています。志納料は各300円〜500円で、丁寧な墨書と朱印が授与されます。