そもそも、なぜアイリスイン城陽は一度その歴史に幕を下ろし、異例の民間ブランド主導による再生の道を歩むことになったのでしょうか。その背景には、全国の地方自治体が直面する公共施設の老朽化と財政負担という構造的課題がありました。
アイリスイン城陽は、鴻ノ巣山運動公園の宿泊休養施設として1990年代に整備され、スポーツ少年団の合宿や市民の集い、格安の研修宿泊先として長年利用されてきました。しかし、開業から20年以上が経過した2010年代半ばには、建物の設備老朽化が進み、年間の維持管理コストが市の財政に重くのしかかるようになります。稼働率の低迷と修繕費用の増大という典型的な公共インフラの課題に直面した城陽市は、従来の「直営または指定管理者制度による現状維持」からの脱却を決断しました。
そこで城陽市が打ち出したのが、民間活力を最大限に導入する公募型プロポーザル方式による「鴻ノ巣山運動公園宿泊休養施設等利活用事業」です。これに見事名乗りを上げたのが、大阪市に本社を置く大手アウトドア用品メーカーの株式会社ロゴスコーポレーションでした。市が保有する公園敷地と建物のポテンシャルに、民間ブランドが持つ企画力・発信力を掛け合わせるPPP(公民連携)協定が2017年に締結。先行して改修された隣接の旧「プラムイン城陽」(2018年オープン)に続き、旧「アイリスイン城陽」も約1年間の全面リノベーション工事を経て、2019年にグランドオープンを迎えたという経緯です。