『真夏の果実』は、桑田佳祐が初めてメガホンを取った映画『稲村ジェーン』(1990年公開)の主題歌として書き下ろされました。1965年の神奈川県・稲村ヶ崎を舞台に、サーファーたちの青春群像劇を描いた同作において、この楽曲は映画の世界観を象徴する重要な役割を果たしています。
制作当時、映画の撮影と並行して音楽制作を進めていた桑田は、極限の過密スケジュールとプレッシャーの中にいました。その張り詰めた空気感の中で絞り出されたのが、あのどこか物憂げで哀切に満ちたメロディでした。映画の映像美とシンクロした楽曲は劇場の観客を魅了し、映画の枠を大きく超えて国民的アンセムへと昇華していきました。