エバミルク(evaporated milk)とは、生乳を加熱濃縮して水分を約半分(約2〜2.5倍の濃縮率)に減らした「無糖練乳」のことです。かつて昭和の時代には、家庭用冷蔵庫が普及しきっていなかったことや、日持ちのする乳製品として雪印エバミルク(赤と白の缶製品など)をはじめ、家庭の洋食作りやお菓子作りの定番として広く親しまれていました。
しかし現在、街のスーパーの棚からエバミルクが激減した最大の理由は、チルド流通の発達と「生クリーム」「牛乳」の品質向上にあります。冷蔵技術が高度に進化した平成以降、フレッシュな生クリームやホイップ用植物性脂肪が安価かつ手軽に入手できるようになり、家庭で保存用の缶入り無糖練乳を使う必然性が薄れました。
食品流通関係者の証言によると、「限られた棚割り(フェイス数)の中で、回転率が低く賞味期限管理の手間がかかる家庭用エバミルクは、一般的な量販店から優先的に整理されていった」という事情があります。現在、国内の乳業メーカーは家庭用小容量缶の生産を縮小・整理し、主にレストランや製菓メーカー向けの業務用バルク・紙パック規格へシフトしているのが実態です。