『おかえりモネ』が単なるお仕事ドラマにとどまらず、深い人間ドラマとして評価された最大の要因は、被災地に「残った若者たち」の苦悩を等身大で描き切ったことにあります。
永瀬廉が演じた及川亮(りょーちん)は、端正なルックスと明るい振る舞いの裏に、母親の喪失とアルコール依存に苦しむ父親を一人で背負い込む孤独を隠していました。特筆すべきは第19週、百音の東京の部屋で「これで救われるなら、百音を好きになりたかった」「俺、しあわせになってもいいのかな」と吐露する場面です。生き残った者が抱く「サバイバーズ・ギルト(生き残りによる罪悪感)」を、永瀬は絞り出すような声と虚ろな眼差しで見事に表現し、ドラマ評論家からも絶賛を浴びました。
一方、蒔田彩珠が演じた妹の永浦未知は、地元を離れて自由に夢を追う姉・百音に対して、敬愛と同時に拭いきれない嫉妬と葛藤を抱くリアリストとして描かれました。「お姉ちゃんは綺麗事ばっかり」と感情をぶつけるシーンは、被災地に残り家業を背負わざるを得なかった者の切実な代弁であり、蒔田の生々しい感情表現が作品のリアリティを何段階も引き上げました。