かつて子供時代に夢中になった世代が30代前後の働き盛りを迎え、純粋なエンターテインメントとしてのゲーム体験を買い直す「ノスタルジー消費」が活発化しています。しかし、DSソフトの相場が上がり続けている理由は単なる懐古趣味にとどまりません。
最大の要因は、物理的ハードウェアとゲームシステムの完全な一体性にあります。スマートフォンやNintendo Switchへのリメイクが試みられた作品であっても、「上画面で状況を俯瞰し、下画面で直接盤面に触れる」という二画面構成のリズム感や、マイクへの息吹きかけ、本体を閉じる動作をトリガーにしたトリックは、代替不可能な身体性を伴っていました。
さらに、任天堂の公式オンラインストアが過去世代機のダウンロード販売を終了したことで、パッケージ版が「唯一の一次資料」となったことも拍車をかけています。メディア・芸術資料としてのアーカイブ価値に目をつけた国内外のコレクター層が参入し、流通枚数の少ない隠れた傑作を中心に、実勢価格のベースラインが大幅に引き上げられました。