マクドナルドのフライドポテトが冷めると急速に食感を損なう背景には、食品科学における明確なメカニズムが存在します。揚げたてのポテトは、外側の衣(デンプン層)が高温の油で水分を飛ばされて硬いガラス転移状態(クリスピーな構造)を保ち、内側には適度な水分がホクホクした状態(デンプンのα化)で閉じ込められています。
しかし、時間の経過とともに内部の水分が外側の乾燥した層へと移動を始めます。さらに、テイクアウト用の紙袋や密閉容器の中では、ポテト自身が放つ熱い水蒸気が充満し、表面のサクサクした層を外側からもふやかしてしまいます。これが、テイクアウト後に遭遇する「しんなりしたポテト」の正体です。また、デンプンは温度が下がるにつれて分子構造が規則正しく再結合する「β化(デンプンの老化)」を起こし、ボソボソとした不快な口当たりへと変化します。
ここで電子レンジ単体での温め直しを行うと、マイクロ波がポテト内部の水分子を激しく振動させて急速加熱するため、内部に残っていた水分が一気に水蒸気となって表面へ噴出します。電子レンジの庫内には水蒸気を逃がす対流や表面を焼く熱源がないため、噴き出した水分がポテト表面を完全に覆い尽くし、結果としてゴムのように伸びるシナシナのポテトが完成してしまうのです。マクドナルドのフライドポテトを再加熱する際は、「表面の余分な水分を蒸発させつつ、染み出した油で再び表面を揚げ焼きにする」熱源の選定が不可欠となります。