週末、福山市内の野球場には開門前から長蛇の列ができる。ユニフォーム姿の小中学生から、孫の応援に駆けつけた高齢者まで、スタンドは熱気に包まれている。人々の目線の先にあるのは、かつて福山雅治氏が歌い上げた甲子園の情熱のメロディにも重なる、ひたむきな球児たちの姿だ。
「福山の高校が甲子園に出て勝つ姿を見るのが、私たちの長年の夢なんです」と、スタンドでメガホンを握る70代の男性は目を輝かせる。新幹線が停まる街でありながら、どこか広島市に対する引け目を抱えていた地方都市の自尊心が、球児たちのフルスイングによって力強く呼び覚まされている。