本作の中盤からクライマックスにかけて圧倒的な存在感を見せつけるのが、カルチェラタンの解体を決定した学校の理事長・徳丸理事長です。海、俊、水沼の3人が直談判のために東京の徳丸ビルを訪れるシークエンスは、映画の大きな見せ場となっています。
この徳丸理事長を演じたのが名優・香川照之さんです。徳丸理事長は単なる威圧的な権力者ではなく、高校生の直談判を面白がり、自ら現地に足を運んで生徒たちの熱意を受け止める器の大きな男として描かれています。実はこのキャラクターには実在のモデルが存在します。スタジオジブリの初代社長であり、徳間書店の創業者でもあった伝説の豪傑・徳間康快氏です。
徳間康快氏は、宮崎駿監督の才能を見出し、『風の谷のナウシカ』からジブリを支え続けた大物実業家でした。豪快で情に厚く、型破りな行動力で周囲を巻き込んでいく徳間氏の人間的魅力をスクリーンに蘇らせるため、制作陣は卓越した演技力と独自の存在感を持つ香川照之さんに白羽の矢を立てました。香川さんはわずかな登場シーンでありながら、徳丸という男の懐の深さと昭和の企業リーダーが持っていたバイタリティを完璧に表現し切りました。
さらにキャスト陣の意外な裏話として知られているのが、海の妹・松崎空役を演じた白石晴香さんの存在です。当時はまだ15歳前後の新人でしたが、その後『ゴールデンカムイ』のアシリパ役などで大ブレイクを果たし、トップ声優としての地位を築きました。スタジオジブリのキャスティング陣が持っていた原石を見抜く鑑識眼の鋭さを証明するエピソードと言えます。