同じ注意を何度も受けているにもかかわらず、なぜ同じ失敗を繰り返してしまうのか。取材を進めると、そこには悪意ではなく「本人の無自覚な認知の歪み」が横たわっていることが分かります。現場のマネージャー層から最も多く挙げられるのが、無能と判断される行動パターンの筆頭である「自己流への固執」と「メモを取らない、あるいは見返さない姿勢」です。
業務におけるミスを繰り返す原因と対策を突き詰めると、根本的な要因は「理解したつもり」のまま作業に着手する点に集約されます。認知心理学における「ダニング=クルーガー効果」が示すように、スキルの習熟度が低い段階ほど、自身の理解不足を正しく認識できない傾向があります。指示を受けた瞬間に「わかりました」と即答するものの、アウトプットの前提となる納期、成果物のフォーマット、求める精度のすり合わせを怠るため、初動の段階で致命的なズレが発生します。
さらに、失敗した直後の初動対応にも顕著な差が現れます。成果を出す人材は「手順のどの分岐でエラーが生じたか」を検証するのに対し、成果を出せない人は「次は気をつけます」という抽象的な精神論で片付けようとします。仕組みを改善しないまま気合いだけで乗り切ろうとするため、状況が変われば全く同じ構造のミスを再発させてしまうのです。