ネット上で頻繁に議論を呼んでいるのが、ホンダWR-V安すぎる理由です。「何か致命的な欠点があるのではないか」と警戒するユーザーも少なくありません。しかし、その背景を綿密に取材すると、極めて緻密なグローバルコストマネジメントが浮き彫りになります。
第1の要因は、インドのタプカラ工場での集中生産とグローバル調達です。アジア・新興国市場向けモデル「エレベイト(ELEVATE)」と基本骨格を完全に共有し、日本仕様としてリバッジ輸入することで、新規開発投資を極限まで抑え込んでいます。
第2の要因は、徹底的なメカニズムの割り切りです。パワートレインを枯れた技術である1.5L直列4気筒i-VTECガソリンエンジン1本に絞り込み、高価なリチウムイオンバッテリーやインバーターを搭載していません。さらに、4WDシステムの設定を最初から排除したことで、リア周りの構造設計やアセンブリコストを劇的に圧縮しました。
そして第3の要因が、ホンダWR-V内装質感の割り切りです。運転席に座ると、インパネ上部やドアトリムには硬質なプラスチック素材が多用されています。ヴェゼルのようなソフトパッドやステッチ加工、繊細なアンビエントライトは最小限に留められており、エアコン操作系もシンプルそのものです。電動パーキングブレーキやオートブレーキホールドを省き、昔ながらのハンドブレーキレバーを採用している点もコスト直結の要素といえます。
ただし、これを「安っぽい粗悪品」と断じるのは早計です。撥水・防汚性に優れたファブリックシートや、傷を恐れずに使い倒せるインテリアパネルは、泥汚れやキャンプ道具を気兼ねなく放り込めるタフな道具感として機能しています。無駄な加飾を排した実用主義が、この破壊的なプライスタグを実現しているのです。