インターネット上の野球掲示板やSNSでは、「中日は投手陣の防御率が良いのだから、打線が人並みに打てばすぐに優勝争いできる」という意見が根強く語られています。しかし、この言説には野球統計学上の重大な盲点が存在します。
確かに、高橋宏斗投手や小笠原慎之介投手、柳裕也投手らを擁する先発ローテーション、そして清水達也投手や松山晋也投手といった強力リリーフ陣が叩き出すチーム防御率は、毎年12球団トップクラスの数値を誇ります。しかし、これには「バンテリンドームという広大な球場補正」が大きく下駄を履かせている側面を見落としてはなりません。
球場補正を取り除いた真の投手力を示す指標(FIPやtRAなど)を見ると、被本塁打がドームで抑制されているだけで、奪三振割合や与四死球率においてはリーグ圧倒的とは言えないシーズンも散見されます。さらに深刻なのは、「援護がないためリリーフ陣が1点のリードも許されない極限状態」で登板し続けることによる勤続疲労です。
打線が序盤に3点、4点とリードを奪っていれば、継投にも余裕が生まれ、投手の球数も管理できます。しかし毎試合のように0-0や1-0の痺れる展開を強いられた結果、勝ちパターンの救援投手が夏場にガス欠を起こし、終盤の逆転負けを喫する。ファンが目にする「リリーフの乱調」は、打撃陣の無得点が引き起こした必然的な二次被害なのです。