香川照之の表現への執念は、映像の世界だけに留まりませんでした。2011年、46歳という異例の年齢で歌舞伎界への進出を発表し、九代目市川中車を襲名。長男である市川團子とともに澤瀉屋の系譜を継承する道を選んだ背景には、かつて確執のあった父・猿翁との和解と、自らのルーツに対する深い責任感がありました。
また、彼の知的好奇心と圧倒的な熱量が国民的な支持を集めたのが、NHK Eテレの冠番組『香川照之の昆虫すごいぜ!』です。「カマキリ先生」に扮して昆虫の生態を熱弁する姿は、単なるタレントの趣味番組を超え、綿密な生態学的知識と教育的価値を兼ね備えた大ヒットコンテンツとなりました。
様々な曲折を経た現在においても、香川照之は舞台演劇、歌舞伎の舞台、そしてプロデュース事業を中心に堅実な活動を継続しています。現場関係者の取材によると、歌舞伎座の舞台で見せる古典への深い敬意と役柄の探究心は共演者からも高く評価されており、表現者としての情熱は衰えを見せていません。