多くのファンや指導者が抱く「なぜ東京医療保健大学はあそこまで強いのか?」という疑問の答えは、単純なタレント力や長時間の猛練習にはありません。その本質は、恩塚前監督が提唱した「原則プレイ(プリンシプル)」と「選手の自律的判断」を極限まで突き詰めたバスケットボール観にあります。
従来の大学バスケットでは、ベンチの監督がサインを出し、選手が決められたフォーメーションを遂行する「コーチャブル」なプレイが主流でした。しかし、東京医療保健大学のアプローチは正反対です。コート上の5人が「相手ディフェンスの重心やポジショニング」を瞬時に認知し、最も有利なスペースとタイミングを自ら選択するスタイルを徹底的に叩き込みました。
自著や指導者向け講習会において、恩塚氏は「指示待ちの選手を作らない。『教える』のではなく『気づかせる』アプローチによって、選手自身がワクワクしてプレイする環境を作る」と語っています。0.5秒以内にパス、ドライブ、シュートのいずれかを決断する「0.5秒ルール」や、ボールを持たないオフボール選手の動き(カッティングやスペーシング)の自動化によって、相手ディフェンスが後手に回る構造を人工的に作り出したことが、他校を寄せ付けない強さの理由でした。