インターネット上の掲示板やSNSでは、ウイスキーに関する固定観念が長年にわたって再生産され続けています。現場のテイスティングデータや蒸留所への取材に基づき、初心者が惑わされがちな典型的な誤解を解き明かします。
最も根深い誤解のひとつが、「バーボンはアルコールのトゲが強い大衆酒で、スコッチは洗練された高級酒である」という二元論です。昭和から平成にかけてのアメリカンカルチャーの刷り込みによって、バーボンには「西部劇の酒場で一気に煽る荒酒」というワイルドなイメージが付与されてきました。しかし、2026年最新 ウイスキー 人気ランキングを精査すると、ハンドクラフトバーボンや長期熟成プレミアム原酒は数万円から数十万円で取引され、国際的な品評会でも最高賞を席巻しています。製法上、新樽から溶け出すタンニンが多いため最初はアタックを感じやすいものの、高品質なバーボンはビターチョコレートやメープルシロップのような上品な熟成感を備えています。
もうひとつの誤解は、「スコッチはすべて正露丸のように煙く、初心者には飲みにくい」という思い込みです。確かにアイラ島のアードベッグやラフロイグといった強烈なピート香を特徴とする銘柄は熱狂的な支持を集めていますが、これはスコッチ全体の一部に過ぎません。スペイサイド地方を代表するザ・マッカランやグレンフィディックなどは、ピートを焚かないノンピート製法を貫いており、リンゴや洋梨、青草のような瑞々しく甘やかな芳香を持ちます。「スコッチ=煙い」と敬遠するのは、スコッチが持つ芳醇なバリエーションの半分以上を見落としているのと同義です。