ダンスナンバーで会場を沸かせる一方で、ブルーノ・マーズの真骨頂とも評されるのが、聴く者の感情を揺さぶるバラード曲の数々です。彼の書くスローナンバーには、自身の私生活や生々しい痛みが色濃く反映されています。
代表的なバラード『When I Was Your Man』は、当時破局の危機にあった恋人(現在のパートナーであるジェシカ・キャバン)との関係から生まれた実話ベースの楽曲です。「もっと花を買ってあげればよかった」「もっと手を握ってあげればよかった」という痛烈な自己反省の言葉が並び、ブルーノ自身もライブで感情が高ぶり歌うのが最も困難な曲の一つだと公言しています。
また、80年代のR&Bバラードを彷彿とさせる『Versace on the Floor』では、シルクのように滑らかなボーカルと官能的なメロディラインで、恋人同士の親密で情熱的な夜をドラマティックに描き出しました。ただ甘いだけではなく、ソウルミュージックへの深い敬意とヴィンテージな美学が詰まった楽曲構成が、大人のリスナーをも唸らせるクオリティを生み出しています。