本館の展示を語る上で欠かせないのが、全国屈指の質を誇る二大常設コレクションです。企画展だけでなく、常設エリアだけでも訪れる価値が十二分にあります。
第一の柱は、本館2階に設置されている「細川コレクション(永青文庫常設展示室)」です。肥後熊本藩主・細川家に代々受け継がれてきた刀剣、武具、茶道具、能装束、絵画、古文書など、東京都文京区にある公益財団法人永青文庫が所蔵する膨大な名宝の中から、テーマごとに選りすぐりの作品が年間を通じて順次公開されています。戦国乱世から幕末に至る武家文化の美意識が凝縮された展示は、歴史愛好家からも熱烈な支持を集めています。
そして第二の柱が、古代日本の造形美に迫る「装飾古墳室」です。熊本県は全国にある装飾古墳の約3割が集中する一大密集地として知られています。同室では、県内に実在する代表的な装飾古墳の石室・石棺に描かれた幾何学文様や彩色壁画が、精密なレプリカと最新の照明演出によって原寸大で再現されています。薄暗い空間に浮かび上がる古代人の祈りと色彩感覚は、まさに日本列島における美術の黎明期を追体験できる圧巻の展示内容です。