なぜアメリカでこのような中華料理が生まれたのか。その起源は19世紀半ば、ゴールドラッシュや大陸横断鉄道の建設労働者として渡米した中国人移民の歴史に遡ります。
当時、排外主義の風潮が強まる過酷な環境の中で、中国人労働者たちは生き残りをかけてレストランを開業しました。そこで考案されたのが、チャップスイ(雑砕)の歴史の始まりです。広東省の家庭料理をルーツに持ちつつ、手元にある野菜や肉を炒めてとろみスープでまとめたこの料理は、「安くてボリュームがあり、栄養満点」としてアメリカ人の労働者階層の間で爆発的な大ヒットを記録しました。
また、食事の最後に提供されるおみくじ入り焼き菓子、フォーチュンクッキーの由来には驚くべき歴史的事実が存在します。多くの人々が「中国伝統の菓子」と信じていますが、米国の歴史学者ジェニファー・8・リー氏らの徹底的な調査報道や歴史的資料によると、そのルーツは日本の京都近郊で作られていた「辻占煎餅(つじうらせんべい)」であることが判明しています。
20世紀初頭、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・パーク内にある日本庭園を管理していた日本人・萩原真氏や、ロサンゼルスの菓子店が提供し始めたものが、第二次世界大戦中の日系人強制収容を契機に中国人実業家たちへと引き継がれ、全米の中華レストランへと広まったという複雑な文化交差の歴史が刻まれています。