手洗いや脱水をどれほど完璧にこなしても、最後の「乾燥」で手を抜くと、すべての苦労が水の泡になります。濡れた状態の帽子は生地が伸び縮みしやすく、重力によって下方に引っ張られるため、洗濯バサミでツバを挟んで吊るすといった行為は絶対に避けなければなりません。ツバに挟み跡が残るばかりか、クラウンの丸みが潰れて平面化してしまいます。
そこでプロや洗濯愛好家の間で絶賛されているのが、帽子を干す際の「ざる活用法」です。キッチンで使用する直径20cm前後のステンレス製または竹製のザルを用意し、その上に帽子をすっぽり被せて形を整えます。この方法には以下の絶大なメリットがあります。
- 理想的な立体球面の維持:クラウンのアーチに沿ってフィットするため、シワや凹凸が一切発生しない。
- 360度の通気性:ザルの網目構造により、内側に湿気がこもらず、乾燥速度が通常の平干しに比べて約2倍に向上する。
- 素材への安全性:風通しの良い日陰にザルごと置いておくだけで、直射日光による紫外線退色(色アセ)を防ぎながら均一に乾かせる。
ザルがない場合は、乾いたバスタオルをボール状に丸めて帽子の中に詰め、ボウルの上に乗せる形でも代用が可能です。
もしも洗濯に失敗して縮んでしまったら?プロ直伝の復元テクニック
「うっかり熱いお湯を使ってニット帽が縮んでしまった」「キャップがキツくなって入らない」という場合でも、諦めるのはまだ早いです。帽子の洗濯失敗による縮みを戻す方法として極めて有効なのが、シリコン入りのヘアトリートメント(リンス)を使った分子レベルの修復術です。
トリートメントに含まれる「アモジメチコン」や「ジメチコン」といったシリコン成分は、絡み合って硬化したウールやコットンの繊維表面をコーティングし、すべりを滑らかにする作用があります。ぬるま湯にトリートメントをワンプッシュ溶かし、縮んだ帽子を30分ほど浸け置きます。その後、軽くすすいでタオルドライし、元のサイズを意識しながら手で縦横に優しく引っ張り伸ばします。キャップの場合は、頭のサイズに近い丸いボウルやサッカーボールに被せた状態で、アイロンのスチーム(蒸気)を数センチ離して当てていくと、驚くほど元のサイズとしなやかさを取り戻すことができます。