捜査線上に浮上した数ある容疑者の中で、最も犯人に近いと囁かれたのが、立川グループのリーダー格であった少年S(当時19歳)でした。少年Sの父親は現職の白バイ隊員であり、バイクの高度な運転技術、土地鑑、警察内部の手順への精通など、犯人像と一致する要素を多数持っていました。
しかし、事件発生からわずか5日後の1968年12月15日、少年Sは自宅で青酸カリによる服毒自殺を遂げます。父親が警察官であったことから「警察内部の不祥事を隠蔽するために口を封じられたのではないか」という疑惑が浮上し、メディアや世論を大きく騒がせました。その後の徹底的な家宅捜索でも奪われた紙幣や明確な物証は見つからず、真相は闇の中へと消えていきました。
その後も、米軍基地関係者説、保険金詐欺を企てた内部犯行説、作家の松本清張氏が提示した複数犯による綿密な計画説など、数々の仮説が唱えられました。近年では、事件をモチーフにした数多くのドラマや映画(『三億円事件』『初恋』『クロコーチ』など)でも独自の解釈が描かれ、大衆の好奇心を刺激し続けています。