坂本花織のスケート人生を語る上で欠かせないのが、幼少期から彼女を育て上げてきた中野園子コーチの存在だ。二人の関係性は単なる指導者と選手という枠組みを遥かに超えている。中野コーチの指導は時に厳格を極めるが、そこには絶対的な信頼関係と愛情が通底している。
リンクサイドから飛ぶ鋭いゲキと、それに応えて身体を極限まで絞り込む坂本。その厳格な環境にあって、所属先であるシスメックス株式会社の存在もまた、彼女の精神的な防壁となってきた。選手が競技だけに全神経を注げるよう、過度なメディアの喧騒から彼女を守り、最高の練習環境を整える体制が完全に構築されている。
「いまの花織にとって、中野先生の期待に応え、支えてくれる人たちに結果で恩返しすること以上に優先すべき事項はない」。近しいスケート関係者はそう断言する。私生活の浮ついた噂が立ち入る隙間など、彼女が身を置く過酷な競技環境のどこを探しても見当たらないのだ。