多くの競馬ファンは、馬体重の増減やパドックでの毛艶、周回時の落ち着きを重視して予想を組み立てる。しかし、パドックはあくまで「静」の状態に過ぎない。競走馬が本来持っているスピードや柔軟性、そしてレースに向けた興奮状態(テンション)は、実際にコースを踏みしめる本馬場入場後にしか顕在化しないのだ。
特に緊張感が高まるG1レースなどの大舞台では、パドックで完璧に見えた人気馬が、コースに出た瞬間に力んで歩様を崩すシーンも珍しくない。逆に、パドックでは少し落ち着きがなく見えた馬が、キャンターに降ろした途端に驚くほど柔らかいフットワークを見せることもある。パドックの印象だけで結論を出すのは早計であり、返し馬での観察こそが最後の「真実のチェック」となる。