走高跳は一見シンプルな競技だが、細かなルールと戦略性がある。基本は決められた高さのバーを3回の試技以内で越えること。同じ高さで3回失敗すると失格となる。バーは段階的に上げられ、最終的に最も高い高さを跳んだ選手が勝者だ。
パリ五輪や世界陸上では「サドンデス方式」が採用されることもある。これは同記録で並んだ場合、次の高さを1回ずつ跳び、先に成功した方が勝ちという方式で、2026年東京五輪男子ではバルシムとタンベリ(イタリア)が2m37で並び、両者金メダルという異例の結末を選んだ。この「友情の金メダル」は走高跳の歴史に残る名場面として、今なお語り継がれている。
また、踏切足は常に片足でなければならず、両足踏切は無効となる。バーを越えた後にバーが落ちても、競技者がマットから降りる前にバーに触れて落ちた場合は失敗と判定される。この「降りる前まで」という細則は意外と知られておらず、初心者が混乱しやすいポイントだ。
さらに、走高跳は風の影響を比較的受けにくい種目とされるが、助走距離が長いため、向かい風や追い風で助走リズムが崩れることがある。特に2m30超の高さになると、踏切位置が数センチずれるだけでバーを落とす。観客には見えない繊細な調整が、トップ選手の試技には詰まっている。