自分自身の身を守る技術と同時に、決して見落としてはならないのが周りへの配慮と安全意識だ。狭い歩道ですれ違う際、傘を外側に少し傾けてお互いの接触を防ぐ「傘かしげ」は、江戸時代から伝わる美徳であり、現代の混雑した街頭でも極めて有効な配慮の作法である。
一方で、近年の都市部で深刻な問題となっているのが「横持ち(横抱え)」の歩行習慣だ。たたんだ傘の柄を手首に掛けたり、水平に握って後ろへ振るように歩く動作は、後方を歩く子供や背の低い人の目や顔に先端が突き刺さる重大な事故を引き起こす。傘を持ち運ぶ際は、常に先端を垂直下方に向け、体に引き寄せて保持するのが安全な持ち方の鉄則だ。こうした些細な所作の差が、街全体の交通トラブルや接触事故を防ぐ大きな境目となる。