なぜ灘区の相場はこれほどまでに崩れないのか。近畿圏不動産流通機構(レインズ)の成約データや現地仲介業者の動向を総合すると、単なる投機熱ではなく、極めて強固な需給の構造的ミスマッチが存在することが分かります。
第一の理由は、隣接する中央区(三宮エリア)での大規模再開発に伴う価格高騰です。三宮駅周辺のタワーマンションや新築物件の坪単価が庶民の手の届かない水準まで跳ね上がった結果、実質的なベッドタウンとして隣接する灘区へ実需層が大量に流入しています。JR神戸線で大阪駅へ直通20分圏内、三ノ宮駅へわずか4分という卓越した利便性を備えながら、中央区よりも落ち着いた住環境が得られる点が、共働きパワーカップルの受け皿となっています。
第二に、供給面の構造的限界です。灘区は北側に六甲山系、南側に大阪湾を抱える南北に細長い地形であり、平野部の開発可能用地はすでに飽和状態にあります。新築の大規模開発用地が極端に枯渇しているため、優良な立地を求める買い手が必然的にストック市場、すなわち中古マンション市場へ集中せざるを得ない力学が働いています。