しぶんぎ座流星群には、天文学ファンの知的好奇心を刺激する特異な背景と、ネット上で流布しがちな誤解が存在します。
誤解1:現在も「しぶんぎ座」という星座が存在している?
現在、国際天文学連合(IAU)が定めている全天88星座の中に「しぶんぎ座(壁面四分儀座)」は存在しません。18世紀末に考案された歴史的星座でしたが、1922年の星座再編によって廃止され、現在は「うしかい座」「りゅう座」の一部として組み込まれています。しかし、流星群の名前として長い歴史と親しみがあったため、現在も「しぶんぎ座流星群」の名称がそのまま受け継がれています。
誤解2:流星群の元となるチリは彗星からしか放出されない?
流星群の起源となる「母天体(母彗星)」は一般に氷とチリでできた彗星ですが、しぶんぎ座流星群の母天体は2003年に発見された小惑星「2003 EH1」であることが有力視されています。近年の天文学的研究では、この小惑星はかつて活動していた彗星が揮発成分を失い、核だけが残った「枯渇彗星核」であるという説が有力です。チリの軌道帯が非常に細く集中しているため、地球がその軌道を横切るわずかな数時間だけ劇的な出現を見せるというメカニズムが解明されつつあります。