身体の病気だけでなく、脳神経疾患やリハビリテーションの分野でも「器質的」という区分は治療戦略の根幹を担います。
精神科領域で診断される器質的精神障害は、心の問題や性格が原因ではなく、脳そのものに生じた物理的損傷や疾患によって精神症状が引き起こされる病態です。脳梗塞や脳出血の後遺症、頭部外傷、アルツハイマー型認知症、脳腫瘍などがこれに該当します。感情のコントロールが利かなくなったり、幻覚やせん妄が現れたりしますが、発症の根源が脳組織の破壊にあるため、一般的な心因性うつ病や統合失調症とは異なる医学的アプローチが求められます。
また、言語聴覚療法の現場で見られる器質性構音障害も象徴的な病態です。これは、生まれつきの口蓋裂や、舌がん手術後の組織欠損、外傷による顎の変形など、発声を司る「口腔や咽頭の構造そのものの異常」によってろれつが回らなくなる状態を指します。神経の麻痺によって動かしにくくなる「運動障害性構音障害」とは明確に区別され、形成外科的な再建手術や補綴(ほてつ)器具の装着といった構造への物理的処置がリハビリと並行して進められます。