記者会見での騒動以降、ネットや芸能界隈では「写真集が回収された」「発売禁止になった」という風聞が定期的に囁かれてきました。さらには「幻の未公開カットを収めた定本が存在するのではないか」といった真偽不明の憶測まで飛び交うことになります。
事実関係を精査すると、『NUDITY』が法的な差し止めや発売禁止処分を受けた事実は一切ありません。初版から重版を含め、当時80万部以上が正規に流通していました。ではなぜ「封印された作品」というイメージが定着したのでしょうか。
その背景には、出版直後に激化した所属事務所とのトラブルと、その後の事務所移籍があります。菅野美穂は当時、個人事務所的なマネジメント体制にありましたが、写真集の出版方針や収益配分、タレントとしての将来像を巡って社長との間に深い亀裂が生じました。結果として彼女は大手芸能事務所である研音へと移籍を果たします。
移籍後、女優としての本格的なリブランディングが進められる中で、過去のヌード写真集にメディアが触れることは実質的なタブーとなりました。テレビのプロフィール紹介や過去映像から『NUDITY』が完全に除外されたことが、視聴者に「回収・発売禁止になったのでは」という強い錯覚を与えた決定打だったのです。なお「定本」という表現についても、後年に限定特装版や復刻の企画が持ち上がったものの実現しなかった経緯が、尾ひれのついた噂として独り歩きしたものと結論づけられます。