2025年度の石川県高校入試を語る上で絶対に外せないのが、令和6年能登半島地震の影響を乗り越えて実施された入試本番の現場です。北國新聞の報道をはじめとする現地取材資料によると、校舎が甚大な被害を受けた輪島市の門前高校では、本番会場として地域の公民館が使用されるという前代未聞の事態となりました。
当時、現地で取材陣のカメラが捉えたのは、仮設住宅や避難先から乗り合いバスや家族の送迎で会場へ駆けつけた受験生たちの引き締まった表情でした。「周囲の支えがあったからここまで来られた。どんな場所であっても全力を尽くすだけ」と語った生徒の手記や談話には、単なる受験の枠を超えた、地域と日常を取り戻すための闘志が宿っていました。
教育委員会は被災生徒への配慮として、出願手続きの特例や追試験の柔軟な運用、さらには心のケアを行うスクールカウンセラーの巡回配置など、重層的なバックアップを実施しました。金沢市内の進学校で起きていた激しい倍率争いの一方で、能登の現場では「命と学びを守り抜く入試」が静かに、そして力強く執り行われていた事実は、2025年度入試の歴史的証言として深く刻まれるべきものです。