ネット上のコミュニティや知恵袋などで定期的に議論されるのが、「ジジの声が途中で変わったのではないか?」「なぜ最後は言葉を話さなくなったのか?」という疑問です。
まず声優の変更疑惑についてですが、劇中のジジの声は全編を通じて佐久間レイ氏が担当しており、声優交代の事実は一切ありません。佐久間氏はキキの相棒としての愛嬌ある高音から、後半の普通の猫としての鳴き声までを繊細に演じ分けています。
では、なぜジジはラストシーンになっても再び人間の言葉を話さなかったのでしょうか。宮崎駿監督が語った演出意図によると、「ジジはもともと独立した喋る猫ではなく、キキ自身の内面(もう一人の自分・子どもの心)の投影だった」とされています。
キキが魔法の力を失いかける過程でジジの声が聞こえなくなるのは、単なる能力の低下ではありません。キキがトンボや街の人々といった「他者」と向き合い、自らの足で社会に居場所を築く中で、自分自身との内省的な対話(ジジの声)を必要としなくなった=精神的自立を果たした証なのです。ラストでジジが「ニャー」と鳴くのは、キキが子どもの殻を破り、ジジもまた一匹の自立した猫としてキキの隣に寄り添う関係へ変化したことを意味しています。
なお、北米で公開された英語吹き替え版(ディズニー配給版)では、ラストシーンでジジが再び喋るセリフが追加された時期がありました。これは「相棒の言葉が戻らないのはバッドエンドに見える」という海外特有の文化背景による改変でしたが、その後のリマスター版では日本オリジナル版の意図を尊重した形に修正されています。