阿部慎之助の現役時代において、若き日の凄みが最も凝縮されていたのが2012年シーズンだろう。この年の阿部が見せた打撃パフォーマンスは、プロ野球史に刻まれるレベルに達していた。打率.340、32本塁打、104打点。打率と打点の二冠を獲得し、本塁打も首位とわずか1本差の2位。あと一歩で三冠王という圧巻の数字を残した。
捕手というポジションは、毎試合投手のリードや守備の配球に膨大なエネルギーを消費する。その重責を担いながら、ここぞの場面で決定打を放つ勝負強さは異常とすら言えた。相手投手陣が徹底的に内角を攻めても、鋭い腰の回転でライトスタンドへ放り込む。まさに「常勝巨人の象徴」として球界に君臨した瞬間だった。