王位継承戦の残酷さを象徴しているのが、第1王子ベンジャミンと第14王子ワブルの間に存在する約40年近い圧倒的な年齢差と権力格差です。この格差は単なる身体能力の違いにとどまらず、継承戦開始時点で動員できる軍事力・政治力・情報網の格差に直結しています。
第1王子ベンジャミンは、カキン帝国の軍事最高司令官という肩書を持ち、長年にわたり軍部を掌握してきました。彼の配下にいる私設兵たちは全員が正規軍のエリートであり、ベンジャミンに対して命を捧げるほどの忠誠を誓っています。さらにベンジャミンの念能力「星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)」は、忠誠を誓った念能力者の部下が死亡した際、その能力を自身へ継承できるという軍隊組織のトップにふさわしい極めて強力な能力です。
対照的に、第14王子ワブルは生後わずか数ヶ月の無力な乳児です。自身の意思で逃げることも戦うこともできず、母親である第8王妃オイトの腕の中で泣くことしかできません。王妃の序列が最下位であるオイト陣営には最初から正規の私設兵が存在せず、公募ハンターとして雇われたクラピカたちの護衛任務に全生命線を依存しています。
SNSやファンダムの考察コミュニティにおいても、「生まれたばかりの赤ん坊を歴戦の軍人が暗殺しようとする構図の異常さ」「持たざる者が知略と心理戦で巨悪に立ち向かうサスペンス性」が高く評価されています。自衛の術を持たない赤子を守り抜くというクラピカの極限状態が、物語全体の緊張感を極限まで高める推進力となっているのです。